CONCEPT

「子ども時代は、田舎で学ぶ」が、
あたりまえの世の中に。

 

子どもたちに優れた教育環境を提供するために守るべきものとは

今、社会は大きな変革の時期を迎えています。子どもたちにはこれからの時代、予測不能な様々な未来に適応するために自由な発想や主体性をもつことが求められています。
そのために必要な経験を積むために「子ども時代」がとても大切な期間であると、わたしたちは考えています。
豊かな感性をつちかう。 創造力を豊かにする。 多くの人に暖かく見守られ成長していく。
そんな学びや経験を実現する「場」をつくり、維持するためにも、今、まだ残っている貴重な「自然豊かな里山・里海地域」の環境を守り、活用することが必要ではないかと、わたしたちは考えます。

はじまりは、小学校の統廃合

わたしたちがこの課題解決に取り組みだした大きな切っ掛けは、京都府南丹市美山町全域で行われた5つの小学校の統廃合でした。
京都府下でも最大の面積を誇るこの町での4つの小学校の廃校は、地域に住む教育を受ける権利をもつ子どもたちへ様々な不平等、不均衡を生み出し、僻地に子どもが住まない将来を予感させる重大事件でした。
全国の地方と同じく、美山町でも加速する少子高齢化や働き手の人口流出によって、地域力の縮小が大きな問題になっており、このままでは近い将来、農村景観の維持や地域文化の継承が困難になると予想されます。
つまり、将来にわたり子どもたちが住まない地域は、遠からず滅びてしまうという危険性をはらんでいると言えるでしょう。
では、どうしたらそれを食い止めることができるのか?
わたしたちの挑戦は、そこからはじまりました。

町全体を「学校」に。
そして、「子ども時代は田舎で学ぶ」という教育と生活のかたちを
世の中のあたりまえにしたい

都会には都会の良さと魅力があります。それと同じ、もしくはそれ以上に、田舎には田舎の良さと魅力があります。
ですが、これまでの考え方では、田舎は、「たまにやってきて自然に触れられる余暇の場所」であり、肝心の教育や経済を始めとした社会構造の中心は常に都会でした。人々は多くのものを求め、都会へと集中していきます。
つまり、これまでの価値観では、田舎は都会のバイプレイヤー(脇役)でしかありませんでした。

私たちは、この構造を根底から考え直し、環境最優先の観点から、ここ(田舎)でしかできない教育プラットフォームをつくり上げ、そこに住むすべての子どもが、都会と同列、もしくはより魅力あふれる教育を受けられる「教育環境」を整備し、田舎の価値を新たな価値として再定義しようと考えています。

簡単にいうと、市民主体町全体を学校にしてしまうということです。
豊かな自然と、力強いコミュニティが現存する場所(地域力)を有効に活用し、都市部に集中していた様々な教育情報を田舎に持ち込むことで、これまでにない新しい価値観をもった大きな教育機関が、地域という枠組みの中で作り上げられます。
自然やコミュニティの中での生活から学ぶこと、ものをつくり、工夫すること。
田舎という環境を活かして学べるものに加え、最先端の教育を与えられる環境を、地域全域を使って整えることができたら、他に類を見ない、魅力的な教育環境が生み出されるはずです。
これを実現することで、すべての子どもにとって教育的価値を持った環境を有する地方の町は、この国の教育システムにとっても大切な舞台となり、その認識を全国に広げることで、人々の意識が、その大切な地域を守ろうという地域環境保存の動きへと繋がっていくのではないかと考えます。

わたしたちは、そしてこの考え方を、全国の里山・里海地域に広げたいと考えています。
ひとりでも多くの子どもたちが豊かな人生を送れるように、わたしたちは今、その舞台となる環境を守ることが必要です。
すべての子どもたちの未来のために。

都会と田舎の役割分担を

日本の原風景とも言える茅葺き屋根の民家が多数現存する私たちの町、美山町には、鮎が住む清流が流れる美山川を基軸に豊かな自然環境が存在します。そして、今なお多くの農家が中心となって農村景観を守るこの地域ならではの集落毎のコミュニティが存在するなど、都市部にはない環境を有する地域です。
こうした優れた環境資源を新しい価値で活用した「教育の場」
これが実現できれば、これまで縮小する未来像しか描けなかった多くの町を、教育の場として再生出来る可能性があります。
最先端の教育理念、教育哲学、そして教育手法を取り入れた、これからの時代にあった、全く新しい教育環境のプラットフォームが実現すれば、都会と田舎との役割分担が明確になり、田舎はみんなで守るべき地域として持続可能な社会の舞台となっていくはずです。

「子ども時代は、田舎で学ぶ」が
あたりまえの世の中に。

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